バレーボールにおいてサーブレシーブ(レセプション)は重要です。
レセプションができなければ失点するばかりですし、試合に勝つことは出来ません。
「レセプションの出来が勝敗を分ける」というのは、改めて指摘するまでもない当然の話
ですよね。
このため、サーブレシーブが正確にできるようになるための練習が欠かせないわけですが
バレーボールの中でも習得するのがが難しい技術ですから、練習量を増やしてもなかなか
選手が上達してこないケースは決して珍しくありません。
まともに練習する気もなくサボっている選手に対しては、叱咤激励するのは当然だとして
も、必死になって練習をしても、なかなか上達しない選手への扱いは難しいものです。
何とかして上達してほしいという気持ちはあっても、素質がないから切り捨てるしかない
といった冷徹な判断も求められると言ったジレンマに苦しんでいるかもしれませんね。
チームメンバーの誰も平均以下の技術力しかないという弱小チームだと、問題は更に厄介
であって、劣っているからと言って切り捨てることができませんから、なかなか育たない
選手を何とか育成するという無理難題に取り組まないといけません。
今は岐阜県立益田清風高校女子バレー部の監督を務める熊崎雅文さんは、人事異動で赴任
した弱小バレーボールチームを県大会で優勝するレベルにまで引き上げてきた実績があり
ますが、公立高校の場合には私立高校とは異なり、奨学生などの形で将来が有望な選手を
スカウトできないため、内部育成しか選択肢はありませんでした。
そこで、熊崎さんが提唱しているのが「逆転の発想」です。
セオリーを外してでもチーム力を向上させることを優先したわけです。
サーブレシーブの場合、通常はセッターへの返球率を上げるために、どのようなボールで
あっても取れるように練習をするわけですが、熊崎さんは自分たちのミスを減らすことを
優先するためにセッターへの返球率が下がってもいいと考えました。
また、レセプションの基本である「守備範囲」も決めないという、普通に考えれば異常と
しか思えない考え方を、熊崎さんは積極的に取り入れていったわけですが、自分が取れる
と判断したチーム全員がボールを追いかけるようにしたことで、ミスが減って失点も減少
するという好結果が生まれたといいます。